訪日観光客を取り込むマーケティング事情

<訪日観光客のショッピング額が倍増>

図2

 株式会社電通(本社:東京都港区、社長:石井 直)は、訪日観光客の消費実態を把握するため、東アジアの5エリア(北京、上海、香港、台湾、韓国)で、過去1年以内の訪日経験者を対象に、買い物や観光活動などの包括的な消費体験の調査結果(2015年3月実施)を発表しました。
 調査結果によると、訪日観光客の買い物平均支出額は2014年春の88,767円から2015年初旬には170,004円と、約1年でほぼ倍増しており、買い物だけで50万円以上を消費する観光客は全体の4.1%、北京・上海では10人に1人となっています。日本で商品を大量購入する「爆買い」が話題になっていますが、買い物の利用シーンを目的別でみると、自分のものを購入する(62.7%、全13カテゴリーの平均)に対し、家族・友人のために購入する(67.0%、同)の割合が高く、「爆買い」の背景に他の人のために買う消費行動「やまわけ買い」があることが分かりました。 [参照:株式会社電通]

<日本郵便が訪日中国人向けインバウンドECサービスを開始>

図3

 日本郵便(JP)の子会社で物販事業を手掛ける郵便局物販サービス(TS)は、中国のネット旅行
会社・上海携程国際旅行社有限公司(Cトリップ)および越境ネット販売などを行うウィ・ジャパンと
ともに訪日中国人観光客向けの日本商品のネット販売に乗り出すことを発表しました。
 Cトリップが運営する旅行サイトで航空チケットやホテルを予約した会員顧客を、同社の仮想モール型通販サイト「全球購」に誘導し、注文してもらう仕組みで、注文商品は、札幌、東京、大阪、沖縄の約600カ所ある宿泊先で受け取れるとのこと。他の人のために買う「やまわけ買い」の手間を軽減し、買い物時間の節約を図ることで、有意義な観光をサポートし、訪日中国人観光客の増加とともに拡大する日本の土産物市場に切り込み、物販事業および「ゆうパック」の展開拡大につなげる構えを示唆しています。[参照:通販新聞]

<訪日観光客の増加にどう対応するか?!>

図1

 ツアータイプが団体ツアーから個人アレンジの訪日観光へとシフトしており、訪日観光回数が3回以上のリピーターも増加するなか、インバウンド効果の波及により、観光目的地が首都圏から、和歌山の高野山や広島の厳島神社、静岡の御殿場などへも広まっています。訪日観光客の動きが地方に広がるなか、企業にとって、どのように誘客し、自社の商品・サービスにどのように触れてもらうかを考えていくことが重要になってきています。
 企業が観光情報の発信源となり、地元の強みを生かした観光プランを発信し、自社の商品・サービスと絡めたサービスでおもてなしをする。このように地元企業と観光客の接点を構築するエリアマーケティングとインターネットから実店舗へ誘客するO2O(オンライン・ツー・オフライン)を視野に施策を行うことが、今後ますます大切になってくるでしょう。

0 返信

返信を残す

ディスカッションに参加しますか?
どうぞご参加ください!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です